俳句の作り方 紅葉の俳句
恋ともちがふ紅葉の岸をともにして 飯島晴子いいじまはるこ
こいともちがう もみじのきしを ともにして
紅葉が秋の季語。
『秋の半ばより木の葉が赤く色づく事。
「もみじ」の名は赤く染めた絹地を意味する紅絹もみ に由来する。
楓カエデ が代表的である。
動詞のもみづは紅葉するの意。
もみづれり、もみづれる、などの誤用が多いので注意したい。』
(俳句歳時記 秋 角川書店編)
もみづ の活用を紹介します。
自動詞、ダ行、上二段活用。
未然形 もみぢ
連用形 もみぢ
終止形 もみづ
連体形 もみづる
已然形 もみづれ
命令形 もみぢよ
恋ともちがふ紅葉の岸をともにして
恋ともちがふ紅葉の岸をともにして
句意を申し上げます。
二人の関係に恋愛感情はないのですよ。
谷深い両岸には紅葉が連なっていて、二人で岸を歩いています。
鑑賞してみましょう。
この句が生まれたのは山梨県上野原の山奥、阿寺沢の山道。
飯島晴子、59歳。
連れは地元の若い俳人です。
そりゃあ、恋ではないと断言できます。
しかしながら、それでは身も蓋もありません。
そもそも筆者が歳時記で掲句を読んだとき、
相手の男性は同年輩の俳句のライバルではないかと想像したのです。
そのほうが「恋ともちがふ」にぴったりですからね。
円熟した男女の散策には若草萌ゆる道ではピンときません。
やはり紅葉の岸がふさわしいのです。
恋ともちがふ紅葉の岸をともにして
